2024ガレット・デ・ロワ
- bongout7
- 2023年12月21日
- 読了時間: 9分
更新日:2024年12月20日
「来年の事を言えば鬼が笑う」
などと言いますが、鬼が笑ったっていいじゃない。
明日の事すらわからなくても来年のガレット・デ・ロワの予約をしたっていいじゃない。
ということで、毎年1月恒例のガレット・デ・ロワのご案内です。
概要だけさらっと書こうと思いましたが、初めての方もいらっしゃる事でしょうから去年の長々とした説明を加筆修正をし再度掲載いたします。
以下ご一読の上、ガレット・デ・ロワの予約をご検討くださいませ。
かれこれ10年は焼いているのでしょうか、今年もご予約販売のみで焼きますガレット・デ・ロワ。
いつも通り、いや、いつもに増しておいしくできるように腕を振るわせていただく所存。
ガレット・デ・ロワとは。
に入る前に少々前置きを。
日本は様々な宗教行事の楽しいところだけをあれもこれもと都合よく拾って意味も分からずも盛り上がるという傾向があります(企業が金もうけのために仕掛けていることにまんまと乗っかっているとも言える)。
いろいろな人種や国籍の方が交差して生きるこの時代、様々な宗教やそれに伴う歴史と文化や行事の由来を理解することは多様性を受け入れ友好的な人間関係を築く上で必要なことのひとつであると考えます。
ガレット・デ・ロワについて詳しく知らなくてもおいしければいいや、楽しければいいや、とうわべだけで済ますのではなく、折角ですから成り立ちを興味を持って知り、他者や多文化圏への想像力を養うことに繋がれば今の混沌とした世界情勢にも関心を向けられるのではないでしょうか。
例えば、外国人観光客の方が着ているお土産物屋で買ったであろうTシャツに書かれた日本語を見て「それ意味わかって着てるの?」って思う事ありますよね。
私は浅草に勤めていたことがありますから、ツッコミたくなるTシャツをしょっちゅう見ておりました。
冷奴とか、変態とか、お給料とか着てる人いましたね。
よく知らないで取り入れてしまうというのは、こういう変なTシャツをかっこよさそうだからという視覚的感覚だけで言葉の意味も分からず着ていることと同じではないでしょうか。
まあ作る方も作る方ですが。
変な漢字Tシャツくらいならクスッと笑っちゃう程度で、心が和んじゃったりするんですけども。
もしも周りの人を侮辱するような汚いヘイトの言葉が書かれているTシャツをデザイン的に気に入ったからと言葉の意味を知らずに着て歩いていたら、それを見て傷ついたり憤怒する人がいたら、想像すると怖いですよね。
音楽ファンあるあるでいうと、ファンでもないやつがバンドT着るなっていうせせこましい怒りなどは似たようなことですね。
やっぱり知るのは大事。
まんが初めて物語で育った世代なので、ここらへんで「クルクルバビンチョなんたらら~のモーグタン!」ってモグタンに始まりの地へ連れて行ってほしいのですが、残念ながら私の説明が続きます。
ガレット・デ・ロワの成り立ちのお話に入ります。
キリスト教では、12月25日にイエス・キリストが誕生したとされていますね。
その12日後の1月6日に東方三博士がイエス・キリストの元に現れイエスの存在が他者に顕かになりました。
その日を公現祭として祝い、その際に食べるお菓子がガレット・デ・ロワです。
占星術の学者とされる東方三博士は星に導かれてイエスの元にやってきました。
その際、乳香、没薬、黄金をイエスへの贈り物として捧げました。
乳香は樹脂なのですが、お香と漢方薬などにも用いられるものでアロマに詳しい方にはフランキンセンスというと分かるかもしれないです。
リラクゼーションや鎮静作用もある物です。
没薬も樹脂で、お香に使われますが、殺菌作用も高く、鎮静薬や鎮痛薬に用いられたり、ミイラ作りにも使われている物です。
黄金は金ですね。王位の象徴とされており、黄金を捧げイエスが王となる存在であるという事を示したとされています。
それらの贈り物をイメージして14世紀ごろから作られはじめたのがガレット・デ・ロワです。
何がどうしたらこのようなパイになるのか、最初からこの形だったのか、誰が開発したのかなどの細かい経緯までは不明です。
バターもアーモンドもたっぷりですから芳醇で香り高く、乳香や没薬の香りを表したのではないかと思われ、
また、ガレットという形は薄い円盤状のもののことを指しますのでこんがり艶よく焼かれた様は金貨のようなイメージもあるのかもしれません。
ガレット・デ・ロワのロワは王様を意味しまして、これは黄金を捧げられ王と認められたイエスの事ですね。
つまりガレット・デ・ロワはイエス・キリストのガレット。
とてもざっくりしたご説明で私個人の勝手な見解も入っておりましたので、深堀りしたい方はぜひ個々にお調べください。
日本人が大好きな楽しい要素としまして、ガレット・デ・ロワはゲーム的な遊びがございます。
それは、フェーブと呼ばれる陶器の小さな飾りをガレットの中に埋め込みまして、切り分けて食べたときにフェーブが入った一切れを食べた人がその日は王様になれるというものです。

このようにフェーブには様々な形のものがあります。
フェーブというのはそら豆の意味でして、元々はそら豆を入れていたらしいです。
何がどうしてフェーブを入れることになったのかは諸説ありまして、一つはそもそも古代ローマ時代の頃からパンや菓子などにフェーブを入れ、それをくじ引きにして長を決めるというようなことを政治や地域のコミュニティの場などでよくやっていたらしい、それが時を経てガレット・デ・ロワにも取り入れられたらしい、という説など。
まあ、これも気になる方は個々に深堀りしてください。
ガレット・デ・ロワというものはどのようなものなのかご理解いただけたでしょうか?
ではここからガレット・デ・ロワはどのように作られるのでしょうか?
お菓子自体のお話に入ります。
ガレット・デ・ロワはとてもシンプルなパイ菓子です。
パイ生地にアーモンドクリームを詰めて焼き上げるだけ。
とてもとてもシンプル。
シンプルですが材料は贅沢、そしてシンプル故に全くもって素材にも腕にもごまかしがきかない逃げも隠れもできない直球勝負のお菓子なのです。
まずはパイ生地。
クロワッサンの作り方とまあまあ似ております。
デトランプと呼ばれるバターを包む生地を作ります。
この後、何度も伸ばして折り込む作業を繰り返しますので、最初から捏ねすぎるとグルテンが発達しすぎて伸ばす作業の妨げになります。
生地全体が均等な状態になるよう捏ねるけども捏ねすぎないという絶妙な匙加減が求められます。

そして生地に折り込むバターをシート状に伸ばします。

バターは20℃を超えますと柔らかくなりますので、20℃以下の室温で作業をしております。
今の時期はオーブンを消せば15℃くらいまで一気に下がりますので問題はないのですが、冷えすぎてもバターが硬すぎて割れてしまい、このように冷えているのにしなやかという状態に伸ばすことが困難。
バターは非常にデリケートなのです。
デトランプを伸ばしてバターを包んでいきます。

きっちりと包み込みます。

伸ばします。

生地を3等分にする箇所を折りたたみます。(三つ折り)

もう一度伸ばして折り込んで、グルテンを落ち着かせるために30分から1時間ほど休ませます。
このように三つ折りを6回繰り返してパイ生地が出来上がります。

3の6乗ですのでバターが729層に。
中身のアーモンドクリームはアーモンドの粉をたっぷりと使います。

フランス菓子はとにかくアーモンドを多用します。
丸ごとホールのまま、ダイスカットにしたり、スライスしたり、粉にしたり、ペーストにしたり。
和菓子でいう小豆みたいな存在です。
バター、卵、お砂糖とこのアーモンドを同量ずつ混ぜ合わせたものがアーモンドクリーム。

丸く抜いたパイ生地にアーモンドクリームをたっぷり山盛り乗せ、もう一枚のパイ生地をかぶせて周囲を閉じます。
そして表面に艶出し用の塗り卵をして、模様を刻みます。

オーブンでじっくりと焼き込んでいきます。
こんがりと色づいたところで取り出し、粉糖をまんべんなく振りかけます。

再びオーブンへ入れて表面をキャラメリゼします。

これで完成です!
パリッパリに焼けたパイにナイフを入れますと、中はしっとりほっくりとしたアーモンドクリームが。

さて、フェーブはいったいどこに?
本当はこのようにアーモンドクリームに埋め込んで焼かれるべきなのですが、

食品ではないものを食品の中に入れて販売することは食品衛生上やっちゃダメということで、別添えになっております。
お引き渡し時にくじ引きのような形で選んでいただいてます。
それを各々の判断で飲み込む危険のないように注意していただいて埋め込んで楽しんでいただくようにお願いしております。
どのようにするのかと説明しますと、
まず人数分にカットします。

そのうちのどれかひとつを裏返します。
そしてフェーブを底から押し込みます。

表に戻せばもう見た目にはフェーブが入っているかは分かりません。
じゃんけんなどしてもらって順番に好きなカットを選んで、いただきましょう!
がぶりと勢いよくかぶりつくとフェーヴに当たった時大変危険ですので、フォークでお上品なサイズにカットしながら召し上がってください。

フェーブが入ってたカットを選んだ人が王様!
王冠をかぶってドヤ顔で楽しく過ごすべし。
さて、やっと肝心のご予約の詳細です。
ご予約販売のみで店頭には並びませんので、どうぞ詳細をよくご確認ください。
ガレット・デ・ロワ 直径18㎝丸型 1台 2500円(税込み)
※フェーブと王冠がセットです。
ご予約はお電話(047-409-8660)か店頭で承ります(営業時間内のみ)。
SNSのメッセージでは受け付けておりません。
1月6日から29日までの営業日でしたらいつでもお受けいたします(火曜水曜定休日)。
ただし、ご希望日の3日前(休日は含まず)までにご予約ください。
お正月休みを1月1日から5日までいただきますので、1月6日から8日までのご注文は12月31日営業時間内までにお願いします。
ご家族やご友人などと集まっておいしく楽しいひと時を過ごしていただければと思います。
〆は人々が集うにぎやかなこちらの曲で
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