クロワッサンと健康な肩回りについて
- bongout7
- 10月30日
- 読了時間: 6分
急に秋めいてきました。

このうら寂しい色合いの夜明け。
まぎれもなく冬の入り口です。
当店は規模も経済力も弱小パン屋のため、バターの折り込み作業をする専用の冷えた空間とパイローラーの用意がございません。
そのため当店のクロワッサンは冬の寒い時期だけに人力で製造する商品となっています。
そんなクロワッサンの製造が今期は先週から始まりました。
クロワッサンは非常に贅沢なパンなのですが、材料は意外とシンプルです。
バター、小麦粉、塩、砂糖、卵、イースト、水。
材料の種類はその他の多くのパンと大して変わりません。
何が違うかと言えばその材料の配合と製法です。
なんとなくご存じかと思いますが、クロワッサンはバターをたっぷり使っています。
どれくらいたっぷりかというと、当店の角食パンに使うバターと比べてクロワッサンに使うバターはおよそ7倍量です。
わあーおいしそー。と思うか、
ええーこわいこわい。と思うかは人によって違うでしょうけども、クロワッサンとはそういうパンです。
つまりバターのおいしさがクロワッサンの主軸ということです。
当店はよつ葉バターを使っております。
とってもミルキーで滑らか、くどさがないバターです。
ではクロワッサンの製造工程を見ていきましょう。
まずはパン生地をこねます。

通常のパン生地ではよくこねてしっかりとグルテンを作り上げるのですが、クロワッサンにおいて生地のこねの段階ではグルテンの形成を極力抑えます。
グルテンの強い引きの強い生地だと弾力がありすぎてバターの折り込み作業が難しくなるからです。
伸ばして折りたたむという工程でグルテンは形成されていきます。
だからざっくりと材料が混ぜ合わさればオッケー。
数時間後、発酵を経て冷やした生地とシート状に伸ばしたバターを用意します。

そして生地でバターを包みます。

こうして、生地の四つ角を合わせてくるんで伸ばしていきます。
バターを包んだ生地を薄く伸ばしてお布団のように三つ折りします。

この時に、パン生地とバターの固さと伸びやすさと温度が同じであることによってパン生地の間に均等なバターの層が作られます。
伸ばして、三つ折り、30分休ませる、という作業を全部で3回繰り返し行います。
1回目の三つ折りでバターが3層に、2回目の三つ折りで3×3で9層、3回目の三つ折りで9×3でバターが27層。
こうしてパン生地の間にバターの層があることによってこのようなほかのパンにはないサクサクほろほろの外側に、ふっくらジューシーな内側の対比が作られます。

三つ折りを終えた生地を伸ばして、三角形にカットして、成型。くるくる巻きます。

これをまた発酵させてふっくらとしたら焼き上げて出来上がり。
当店では成型した後一晩冷やして発酵を止めた状態で休ませてから、翌日に二次発酵ののち焼き上げます。
成型後すぐ二次発酵して焼くと元気いっぱいすぎて荒々しい感じになってしまうので、ちょっと寝かせて落ち着かせています。
そして焼きあがったクロワッサンはこちら。

来年3月いっぱいまで焼くことができるかと思われます。
3月に最高気温25℃の日が現れたりすると話が変わってくるのですが、それは地球に聞いてくれということで、よろしくどうぞ。
クロワッサンの副産物としてクロワッサンラスクとクロワッサンダマンドも登場したりしなかったりいたします。
雑記
冒頭に書きましたが、当店はパイローラーがないので人力でクロワッサンを作っています。
そのため冬場は腕を酷使することになります。
数年前のクロワッサンの製造時期に腕がじくじくと痛んで眠れなくなってしまうことがありました。
腕が痛む原因は、パン作りで前かがみの作業が多すぎることによりがちがちの猫背・巻き肩・肩こりになっていたため。
そして肩甲骨は微動だにしていなかった。
その時は整体に何十回と通って何とかしたのですが、あまりにも出費が多すぎて痛む度に通い続けることになったら大変厳しい懐事情になってしまう、、
自分で動きを改善しない限りずっと腕は痛くなる→整体に通い続ける→整体のために頑張って稼ぐため腕を酷使する→腕が痛くなる→整体に、、、実に不毛なループである。
自力で改善すべく巻き肩改善のストレッチやエクササイズの習慣化に励みました。
Youtube上に山ほどある動画を片っ端からやってみる。
多少の動きの違いはあれど、どれも根本的に同じであると分かり始めて続けることにしたのがこれ。
4年前の動画なので4年もやっているということになりますね。
痩せたいわけじゃないのだが「肩甲骨 改善 ストレッチ エクササイズ」などで検索すると大体が痩せ目的を売りにしている動画だらけ。これもそう。
「体を動かし体を改善したい=何でもかんでも”痩せたい”」になるのが多すぎて「痩せてないこと=悪」みたいに脅迫的に感じるのでルッキズムを助長するし本当に良くないからどうにかならんものかね!と思っている。
というのはさておいて、こちらの動画は13種類ほどの動きを各30秒ずつ行うエクササイズ(サムネにバンザイだけって書いてあるけど全然バンザイだけじゃない)。
13種は多いなと思うのですが、まんべんなく動かすのでどれかは効いてるだろ、または相互作用があるだろ、という感覚があります。
そしてこの動画自体は14分ほどの尺があるのですが、覚えてしまえば説明はいらないので30秒のタイマーを用意してサクサクやって約7分で終了。
1日10分弱程度のストレッチやエクササイズを毎日やることで痛くなることも数万円というお金が飛ぶことも避けられる。
体を正しく使う。
ずれたなら正しい姿勢になるように修正する。
すごくシンプルなことだけど、やり続けないと意味がない。
これの効果が感じられるまで1か月。
習慣化するのも1か月。
腕の痛みという実害があったから今でも続けられているものの、ちょいちょいさぼってもしまいます。
クロワッサンの季節になるといつかの腕の痛みを思い出しては姿勢を正すという話でした。
足もみを仕事にしている方がいて、その方が以前ふと漏らした言葉、
「悪いところを治してあげたくて頑張って足揉んでもさ、その人が自分では改善する努力を一切してないと毎回振り出しに戻っていたり悪化していたり、お金払って人に足揉んでもらって他人任せだけでどうにかしてもらおうって思ってるとがっかりするよね」
プロならこういう言葉を人に漏らすものではないという意見もあるとは思いますが、
足もみでも整体や整骨でも延々通い続けてもらったほうが確実にお金になるから、むしろ自分で改善を頑張んないでいてくれたほうが商売的には良いと思ってるのかと思いきや、そういう人ばかりでもないのだな。
ビジネスよりも人の健康を本当に願って施術している人もいるんだなと知れた出来事でした。
わたしがひねくれすぎているのかもしれないですが。
〆は軽やかでスウィングしていて、古くもあり新しくもあり、肌寒く乾燥してきたこの季節にクロワッサンとおいしいコーヒーと共に聴くととにかく気持ちがよくなっちゃうのではないかと思うこちらの音楽で。





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